車を売るときにナンバープレートはどうすればいいの?

初めて車を売る人が悩みがちなことの1つに、「ナンバープレートはそのままでいいのか?」ということがあるのではないでしょうか?

車のナンバーは、各所轄の運輸支局で交付されます。

そのため、引越し後に車を売ろうと思った場合…などに、ナンバープレートをそのままにして車を売ってもいいのかどうか、不安になる人もいるでしょう。

結論から言うと、ナンバープレートはそのままで車を売っても問題ありません。ここでは、ポイントや注意点を詳しく解説していきます。

ナンバープレートがなければ、公道は走れません

まず、車のナンバープレートがなんのために存在しているのかを理解しましょう。

ナンバープレートは、正確には「自動車登録番号標」といって、運輸支局に登録されている登録車であることを示すものです。(軽自動車の場合は「車両番号標」といいます)

登録されていない自動車は公道を走ることができませんので、ナンバープレートがない車は公道を走れないということになります。

つまり、ナンバープレートがあれば、日本全国どこの公道でも走ることができます。沖縄の陸運局で発行手続きしたナンバープレートで北海道を走っても何も問題ないのです。

ですが、車を売るとなると、名義変更を行ったりしなければいけませんので、ナンバープレートがそのままだと余計な手数料を取られたりしないか、という不安はあります。

県外ナンバーの車でも、ナンバープレートはそのままで売った方が良い?

こちらも結論から言いますが、ディーラーや買取店へ、県外のナンバープレートが付いた車を売ることは可能です。多くの場合は、余計な手数料を取られませんし、買取価格にも影響せずに済みます。

その理由は、ほとんどの業者は全国を対象に流通ネットワークを持っていて、買い取った車を県外へ運んで売却しているから。

県内の車でも県外の車でも、どちらにしろナンバー変更の手続きをしなければいけません。お客様であるあなたへのサービスというよりも、業者都合によるところが大きいのです。

また、仮に在庫として抱えてしまう可能性があれば、買取業者側でナンバーを一時的に外す「一時抹消登録」の手続きを行います。どちらにしろ、手続きは業者の都合で業者が行うわけです。

なお、車の抹消登録には、「永久抹消登録」と「一時抹消登録」があります。

完全に廃車にして二度と使えない状態にすることを「永久抹消登録」といって、解体してしまったり、事故や災害で使えなくなったりした車の登録を完全に抹消してしまう手続きです。

もう1つの一時的に車の登録を外すことを、「一時抹消登録」といい、長期間使う予定がない車などからナンバーを外す手続きです。(中古車ディーラーなどで、ナンバープレートのない車が並んでいるのを見たことがある人も多いと思います)

この手続きを行うことで、自動車税の納税や車検を行わなくて済むようになりますし、必要になったら再度申請することで、ナンバーを交付してもらうこともできるわけです。

車のナンバーを外すと、むしろ不利かも

もちろん、ナンバーを外してから車を売ることもできます。

けれども、ナンバーを外すと公道を走れなくなりますので、運送などに費用がかかって余計にマイナスになる可能性があります。

それ以外にもいくつか面倒なことがありますので、具体的な一時抹消登録した場合のデメリットを紹介しましょう。

・「一時抹消登録」そのものに手間とお金がかかる
・公道を走れない
・公道を走れないので、移動には運送費がかかる
・再度申請してナンバーを交付してもらうには、車検を受けなければいけない
・車検期間が残っていても、「一時抹消登録」するとなかったことになる

なお、一時抹消登録した場合のメリットは、以下です。

・自動車税の納税義務がなくなる
・買い手が名義変更をし忘れていても、自動車税の納税通知書が届くようなことがない

TVなどで車のナンバーにぼかしが入っているように、ナンバーから個人が特定される懸念もありますので、その方が安心する人もいるでしょう。

しかし、実際にはナンバーだけで個人情報を特定するのは制度上困難になっています(個人情報の照会には、車のナンバーだけではなく、車台番号も必要になっています)。それに、そもそも運輸支局で照会できるような情報は、車の売買で必要な書類に記載されているものです。

上述のデメリットも含めて考えると、ナンバープレートを外してから車を売るのは、手間をかけるだけで損になる可能性が高いと考えた方が良いでしょう。

県外ナンバーの車を売る場合の注意点

手間をかけてわざわざナンバープレートを外しても、上述のデメリットからも分かるとおり、結果的に査定額がマイナスになる可能性もあります。

そのため、車を売るときは、ナンバープレートを付けたままの方が、むしろ都合が良いでしょう。

しかし、売ろうとしている車が県外ナンバーだった場合は、必要な書類が1枚多くなりますので、注意してください。

まず、買取業者へ車を売る場合、一般的に以下の書類が必要です。

自動車検査証(車検証)
自賠責保険証明書
自動車納税証明書
リサイクル券
印鑑登録証明書

ほとんどの書類は、車のダッシュボードなどにまとめて積んでいることが多いので、問題ないでしょう(紛失していれば、運輸支局で再発行してもらう必要があります)。しかし、印鑑登録証明書だけは役所に取りに行く必要がありますので、少し面倒です。

車が県外ナンバーだった場合は、これらに加えてもう1つ役所で発行してもらわなければいけない書類があります。

それは、「住民票」か「戸籍謄本」です。

これらは売り手がどこに住んでいるか(どういった引っ越しを行ったか)が分かる公的書類です。

県外ナンバーの車だということは、車検証の所有者の住所も県外になっていますので、ほぼ必ずいま住んでいる住所とは違っているでしょう。

そうなると、車検証の所有者の住所からいまの住所へ引っ越したことを証明するために、「住民票」か「戸籍謄本」が必要になるわけです。

なお、車検証の所有者欄の住所がいまの住所の1つ前の住所(引っ越し1回だけ)の場合は、「住民票」で問題ありません。

しかし、何度も引っ越ししている場合は「戸籍謄本」が必要になります(住民票には1つ前の住所しか載っていないため)。

個人売買の場合は?

個人売買の場合、特にネットオークションの場合は、少し話が違ってきます。

顔の見えない相手と個人売買する場合、「買い手が名義変更をしてくれず、自動車税の納税通知書が送られてくる」というリスクがゼロではありません。(知人同士の個人売買でも、よく聞く話です)

そのため、一時抹消登録してから出品することが、一般的に行われています。

しかし、上述のように再申請時に車検を通す必要がありますので、あまり高値での売却は期待できないと思われます。

そこまでして売るくらいであれば、車の一括査定サイトから査定依頼をした方が、手間もなく高額で買い取ってもらえる可能性はあります。

専門家の目で愛車をしっかり査定してもらい、適正な価格でトラブルの心配もない形で取引するのが理想です。

個人売買だと、場合によって買取業者よりも高く買い取ってもらえる可能性もありますが、トラブルの多さを考えると、決しておすすめはできない売却方法なのです。

まとめ

ナンバープレートは付けたままでも問題ありません。

むしろ、外してしまった場合のデメリットの方が大きいので、わざわざ手間をかけてナンバープレートを外す(一時抹消登録を行う)必要はありません。

・ナンバープレートは付けたまま売っても問題ない(県外ナンバーでも問題なし)

・県外のナンバープレートでも買取金額には影響しない
・一時抹消登録すると公道を走れない
・一時抹消登録すると自動車税を納税する必要がない
・一時抹消登録した時点で、残りの車検までの期間はリセットされる
・一時抹消登録した後に再申請して登録するには、車検を通す必要がある
・個人売買(オークションなど)では、一時抹消登録した方がリスクが小さい