「ずっと欲しかった車種がフルモデルチェンジした」
「生活環境が変わって車が不要になった」
「買ったはいいが、あまり乗っていないので、早く処分したい」
車を売る理由は様々です。しかし、急遽そのタイミングがきてしまい、ローンの残債があるという場合もあるでしょう。
それでも「売りたい」と思う場合は、売った方が良いです。車の価値は、一部の特殊なものを除くと、時間とともに確実に下がっていきます。まさに、「あなたが売却したいと思った時が売り時」と言えるのです。
しかし、そうなると、
「もし売ることができるとして、その方法は?」
「買取業者はサポートしてくれるの?」
「買取査定額がマイナスになるのでは?」
など、いくつかの疑問が出てくると思います。
詳しく解説していきます。
目次
車を勝手に売ることはできない。でも……
当然ですが、車を売るためには、自分がその車の所有者でなければいけません。他人名義のものを勝手に売ることは犯罪です。
そのためには、まず車の所有者を確認しなければいけません。車の所有者は車検証に記載されていますので、必ず確認しておきましょう。
そこに、「所有者の氏名又は名称」があります。それが所有者です。(念のため「所有者の住所」の欄も確認しておいた方が確実です)
「所有者の氏名又は名称」に書かれているのが、あなたの氏名であれば、その車はあなたのものですから、問題なく売れます。
しかし、親や兄弟が銀行からお金を借りて返済している場合などは、この欄に親や兄弟の氏名が書かれています。つまり、親や兄弟が車の持ち主だということです。
また、もし車購入時にディーラーなどの販売店でローンを組んだ場合は、この欄にディーラー名や信販会社(クレジット会社)の名称が記載されているケースもあります。
つまり、この車の所有権は、車の代金を立て替えたディーラーや信販会社が持っているわけです。
このように「所有者の氏名又は名称」に自分の氏名でない名称が記載されている場合は、勝手に売ることはできません。
ただし、「勝手に」売ることは罪になりますが、「きちんとした手続きを踏んで」売ることに問題はありません。
車の所有権が自分になれば良い
勝手に売るのが問題なら「承諾を得ればいい」し、所有者が違うから売れないのであれば、「変更すれば売れる」と、考える人もいるかもしれません。
その通りです。所有権を変えれば、問題なく車を売ることができます。
ただし、所有権を変える方法には、以下のようないくつかのパターンがあります。
2. 所有者が信販会社やディーラーになっている場合
2-1. ローンを一括返済する場合
2-2. 車の売却代金でローンを返済する場合
所有権を変える方法(家族から自分)
車の所有者の了承を得て、車の売却を委任する旨の委任状を準備しましょう。
それだけで、問題なく売ることができます。
どうしても心配であれば、名義変更してから売却しても良いですが、そこまでしなくても大丈夫です。
所有権を変える方法(信販会社やディーラーから自分)
ローンの支払いが完済されるまでの間は、貸し手が保険としてその車の所有権を持つ「所有権の留保」という状態になっています。つまり、お金を返し終わるまでは、車は自分のものにならないのです。
そのため、基本的にはローンが残っている限り所有権は変えられません。
車のローンを一括返済する方法
もっとも問題が起こらない方法になります。
ローンを完済して所有権解除ができれば、信販会社もしくは自分で名義変更(この場合は「所有権の留保解除」と呼ばれる)をすることができます。
必要な書類については、信販会社やディーラーが教えてくれますので、確認しておきましょう。(委任状が追加される程度で、通常の名義変更と基本的には変わりません)
もちろん、一括返済の原資は、誰かから借りたお金でも、手続き上の問題はありません。
そのため、ローンの借り換え(ローンを完済するために消費者金融で借りる)を行うことで完済してしまうのでもかまいません。
しかし、ローンの借り換えは金利や返済額などをしっかりと理解し、返済計画を立ててからでないといけません。
もし、車の乗り換えのためにローン中の車を売るのであれば、次の新車の購入代金も借りることになりますので、ローンの返済がとても厳しくなるでしょう。(そもそも、借り換えの金額によっては、新車のローンを組めるかどうかも怪しくなります)
なお、現金で一括清算するにせよ、借り換えするにせよ、信販会社やディーラーなどの所有者には事前に連絡しておかなければいけません。
所有権の留保解除が終われば、通常通り車を売却可能です。
車を売却して得たお金でローンの返済に充てる方法
あいにくローンを完済できる現金を準備できなかった場合に、相談すべき方法です。
ローンが残っている車の売却価格の一部を、ローンの返済に充てます。
売却価格でローンを完済できるのであれば、信販会社も特に異議を唱えることはないでしょう。ただし、それはあくまでも確実に完済できる金額で売却できる場合です。
まずは、信販会社に承諾をとって、事前に査定を行っておく必要があります。
もちろん、このときに一括査定サイトを利用し忘れないようにしてください。
もし、個別に買取店へ問い合わせていたら、時間がいくらあっても足りませんし、ローンが残っている車ということで、足元を見られてしまいます。
一括査定サイトであれば、10社程度にまとめて査定依頼を行えますし、ローンが残っていることを理由に価格を下げることが難しくなるのです。(他社にも依頼していることが分かるので、下手に査定価格を下げると買い取れなくなるという思考が働きます)
1. 買取価格がローン残高を上回っている場合
この場合は、買取業者がローン完済の手続きを行ったうえで、所有者移転の手続き(名義変更)も行ってくれることが多いでしょう。(なぜなら、買取業者が手続きを行うことで、名義変更が1度で済み、手続きそのものが早くなるからです)もちろん、手続き完了次第、残金は入金されます
2. 査定価格がローン残高を下回っている場合
この場合は、少し面倒です。
不足分については、以下のいずれかの方法をとることになると思います。
・新たなローンを組む(ローンの借り換えを行う)
・買取業者と交渉して買取額を上げてもらう(「ローンを完済できる値段ならすぐに売る」という交渉になります)
いずれにしても、あまり良い状況ではありませんので、こうなると売却を諦めるという選択肢も考えておかなければいけません。
大手の買取業者ではローン残高返済のサポートも
ここまでに説明した通り、ローンが残っている車を売るのは、ある程度の手間を覚悟しなければいけません。
特に自動車ローンを組むほとんどの人は「所有権の留保」状態になっていると思われます(車検証の所有者の欄を確認しておきましょう)。そのため、特に面倒です。
そんな背景もあり、大手の買取業者では、ローンが残っている車を買い取るときに、ローン残高の返済や借り換えも行ってくれるサービスを展開しています。
そのサービスを使うことで、車の売り手はややこしいことを何もすることなく、売却金額からローン残高が一括返済されたり、返しきれなかったローン残高を借り換えたりする手続きをしてもらえるのです。
ただし、これらは限られた業者のサービスですので、「車の一括査定」で高い査定価格を付ける業者を見つけても、対応していない業者の方が多いです。
どちらが得かをよく考えて利用しましょう。
まとめ
・購入時にディーラーなどで自動車ローンを組んだ場合は、信販会社やディーラーが所有者になっている可能性が高い(所有権の留保)
・所有権の留保解除(所有権の変更)をして、所有者を自分にしてしまえば、自由に売ることができる
・ローンを返済しなければ、所有権の留保解除は難しい
・車の売却益でローンを完済することでも、所有権の留保解除は可能