車を売る時にネット査定の見積り金額はどこまで信じていい?

「そろそろ車を買い替えたいな。でも、どこに売ったらいいんだろう?」
「ディーラーによる査定額は二束三文だった。高値で買い取ってくれる業者はないかな?」

そんな気持ちでインターネットを検索すると「車の一括査定」が必ずヒットして、「数十万円も高く売れた」「一括査定を使わなければ損」という言葉がたくさん目に入ってきます。

でも、大きく派手に宣伝されればされるほど、不信感が募るものです。

「インターネットで査定依頼を出すだけで、本当に査定価格が提示されるのか?」
「提示されるとすれば、本当に高い価格なのか?」
「なぜ高い価格が提示されるのか?」

そんな疑問が浮かんだ人は、ぜひご一読ください。

ネット査定の仕組みと査定価格について、徹底解説します。

車の一括査定とは?

車を売却しようと考えると、最初に思い浮かぶのはディーラーでの下取りでしょう。車を売っている場所ですから車についてはプロですし、値段もしっかりしているはずだと考えますよね。

ただし、ディーラーの下取り価格は思った以上に低い価格になることが多いのはご存じでしょうか? その上、残念ながら、ディーラーの多くでは下取り価格での交渉はあまり効果がありません。(下取りする代わりに車体代やオプションの値引きなど、複合的な交渉は可能です)

そのため、査定相場以上の金額を目指して、次の買い手を探す人は多いです。

しかし、世の中には、大小様々な買取業者があり、その中から高値で買い取ってくれるところを探すのはとても面倒で難しいものです。

そこで「車の一括査定サイト」を利用するというのが、最もおすすめする方法になります。

無料で利用できる「車の一括査定サイト」の利用方法は簡単で、出品料などは取られません。一度の申込で、自動的に複数の業者へ査定の依頼が行われます。すると、複数の買取業者から査定価格が提示されるので、その中でもっとも高い査定価格を付けたところに車を売ればいいわけです。

しかし、提示された査定価格で車を売ることはできるのでしょうか? ネットで申し込んだだけで提示されてきた価格ですので、査定の内容も分かりません。そんな価格を、そのまま鵜のみにするのは危険かもしれません。

ネットの査定申込だけで、査定価格が分かるのはなぜ?

一括査定サイトから申し込んだ買取業者が査定価格を提示できるのは、申込時に入力した車種や年式、走行距離等の情報からおおよその買取価格を割り出せるからです。

中古車は1台1台違っているため、相場があってないようなものだと思われがちですが、これだけ流通している商品に相場がないわけがありません。

そして、買取業者は相場を知っている専門家だから商売が成り立っているのですから、ネットを通しての情報収集だけで買取価格を提示できるのは、当たり前のことなのです。

注意点としては「買取業者は申込時に入力した情報から買取価格を割り出している」ため、正確な情報を教える必要があるということです。

買取業者は申込時に入力した情報だけを頼りに価格を出していて、入力した情報にない傷や汚損、修理歴などがあれば、初めの買取額から減額されることになります。逆に、情報にないオプションなどがあったとしても、加算されない場合も多いです。

つまり、申込時に入力しなかったことは、何もしなければ必ずマイナスに働きますので、できる限り正確に事細かく入力することが重要なのです。

査定額が下がってしまったり、後々トラブルに発展しては困りますので、面倒臭がらずにこなしておきましょう。

また、上記のような理由から、ネットで提示される査定価格は仮査定での価格として扱われ、後に査定士による出張査定を受けるのが普通です。(そのため、買取業者からすぐに電話がかかってきます)

業者の担当者が実際に車を調べて、初めて買取価格が決定するのです。

もちろん、本査定での査定価格に満足がいかなければ、断っても問題ありません。一括査定で他の業者にも査定してもらっていますので、そちらへお願いすればいいのです。

車の一括見積だけで、査定価格が高くなるのはなぜ?

一般的に、ディーラーに比べると買取業者の買取価格は少し高めです。ただ、「一括査定サイト」の過去の査定価格の例には、それ以上に高い金額が掲載されています。

それは、買取業者に個別に依頼するのと、一括査定で依頼するのとでは、買取業者の競争相手の数が違うからです。

買取業者はできるだけ安く仕入れようとしますので、競争相手がいなければギリギリ最低ラインから提示してくるものです。

そこから何かと恩着せがましく言って、ちょっとだけ上乗せしていきます。そのため、実際はもっと高く売れるのに、売り手は「得をした」気になって契約してしまいます。

しかし、一括査定では、別の買取業者が相手になりますので、そんな手は通用しません。

そもそも、最初に低い価格を提示してしまうと、その段階で買い取る権利が失われますので、高めの価格を提示するしかないのです。ヤフオクなどのネットオークションに出品して、落札額がどんどんあがっていくのと一緒ですね。

つまり、一括査定のサービスを利用することで、買取業者が勝手に競争相手を想定して値段を上げていくのです。

そんな心理戦が、査定価格を最大まで上げる結果になっているわけです。

本査定での買取業者による営業トークに注意

前述しているように、一括査定で査定価格が提示されても、それはあくまでも仮査定です。

また、査定価格を提示しない業者もゼロではありません。それが一括査定のデメリットでもあります。

どちらにしろ、出張査定の日程調整の電話はかかってくるケースがほとんどですので、そのつもりでいなければ驚いてしまうでしょう。

結局のところ、実車をチェックしなければ、実際の査定見積は確定しないということです。

中古車の状態は1台1台違いますので、確かにもっともではありますが、実はこの本査定の時がとても危険なのです。

本査定でやってくる買取業者の担当は、営業マンです。つまり、交渉のプロなのです。彼らは、できる限り安い値段で車を買い取ろうとしています。

そのため、「いま契約してくれたら1万円アップします」「明日には値段が下がります」などと、急かすようなことを言ってきて、早く契約しようと迫ってくるのです。

この営業トークに乗ると失敗してしまうかもしれません。

必ず、できる限り高い査定価格を提示させて、「他社にも査定してもらっていますので、もしそちらの方が安ければ、連絡します」などと、保留にしておきましょう。

それでもしつこく食い下がってくれば、「まだ、他社に負ける程度の価格なんだな?」と考えても良いくらいです。

「もう少し高くできるなら、連絡をください」などと査定価格をもう一度提示させるチャンスを与えるという流れを作って、その日は終わりにしましょう。

せっかく一括査定で複数の会社に査定を依頼しているのですから、彼らを競争させて買取価格を上げさせなければ、意味がありません。

まとめ

車の一括査定を行うことで、複数の買取業者に査定依頼をすることができ、買取業者間で競争をさせることができます。そのため、買取価格が上がっていくのです。

しかし、買取業者は競争をできるだけ避けて、「早く契約させよう」としますので、こちらが競争するように持っていかなければいけないということは、肝に銘じておきましょう。

それが、車の価格を思った以上に高く売却するポイントなのです。

・ネット査定の査定価格は、申込時に入力した情報から割り出される
・ネット査定の査定価格は仮査定結果なので、必ず本査定が必要
・一括査定では他社も査定していることを知っているため、勝手に競争して価格が上がる
・申込後、出張査定などの日程調整の電話がかかってくる
・本査定でやってくる買取業者の担当は、交渉のプロ。そのリスクを知る
・営業トークの裏側を知る
・本査定の結果で業者に競わせる流れにする