他人のものを、勝手に売ることができないのは、当たり前のことですが、もらったものや買ったものなら売ることは可能ですよね。
ただし、車のように金額が大きいものであれば、完全にあなたのものであるという証明ができなければ、車を売却できません。
ここでは、車検証の所有欄にあなた以外の名前が記載されている場合の売却手続きについて解説しています。
車を売る手順
まずは、車を売るための通常の手順を説明しましょう。この部分が分かっていなければ、名義がどうなっていようと売ることはできません。
車を売る方法には、主に、「ディーラー下取り」、「買取業者への持ち込み」、「車の一括査定」の3つの手順があります。
ここでは、高値で売れる可能性が高い「車の一括査定」での方法を紹介しましょう。
2. 連絡のあった業者の査定額を比較し、上位数社に本査定を依頼。(他社は断ること)
3. 本査定の買取価格が最も高い業者と最終交渉(手数料についても要確認)
4. 以下の必要書類を準備し、契約する車検証
自動車納税証明書
自賠責保険証
リサイクル券
実印の印鑑証明書(発行日が3ヶ月以内であること)
譲渡証明書(買取業者が持っています)
※車検証の住所と現在の住所が違う場合は、住民票や戸籍謄本も必要です
5. 入金
一括査定サイトを利用することで、車に詳しくなくても買取相場を把握できますので、買取業者と堂々と交渉できますし、業者同士が競うことで買取価格が高くなる期待も持てます。
名義が違う車を売るには
車の名義は、車検証の所有者欄を調べれば分かります。その欄があなたの名前でなければ、本人名義ではないということになるわけです。(使用者欄は自分の名前になっているはずです)
前述の手順4.の必要書類を見れば分かるとおり、車を売るには実印の印鑑証明や戸籍謄本などが必要です。つまり、名義が違う場合はこのあたりの書類が準備できないわけです。
そこで、名義が違う車を売るためには、陸運局で名義変更を行うことになります。
多くの人は、この時点で面倒に感じるかもしれません。
ですが安心してください。いまでは、すべて買取業者が代行して手続きしてくれます。
上述の書類に加えて、以下の書類をそろえさえすれば、それで終わりです。
・印鑑登録証明書(新旧所有者両方のものが必要。発行日が3ヶ月以内であること)
・車庫証明書(新所有者のもの)
・譲渡証明書(国交省のサイトからダウンロード可能)
・委任状(業者へ手続きを委任するため、新旧所有者両方のものが必要)
名義変更の手続きを買取業者にやってもらうといくらか手数料がかかりますので、時間にゆとりがある人は自分で手続きをしておきましょう。
手続き自体はそう難しくないにしても、書類に不備があるなどのミスは起こりやすいので、お仕事が忙しいなど、なかなか時間が取れない人は業者に任せたほうがスムーズです。
名義変更できないケースがある?
旧所有者が家族や親戚、配偶者、友人というケースであれば、上述の印鑑証明書などの書類を入手するのはそれほど難しくないかもしれません。
ただし、次のような場合は、簡単ではないでしょう。
・ローン会社の名義になっている場合
もちろん、これらの場合でも車を売却する方法はありますので、安心してください。
手順を説明しましょう。
ローン会社の名義になっている場合
ディーラーが勧めるマイカーローンなどで車を購入した場合、所有者はディーラーと提携しているローン会社(信販会社)や販売店名になっているのが普通です。(使用者はあなたの名前になっているはずです)
これは、ローン会社が自動車の代金を立て替える代わりにその自動車そのものの所有権を自分たちのものにすることで、回収できなかった場合の担保としているためです。
そのため、基本的にはローンが完済するまで、車の所有者が自分になることはありません。
また、無事完済できたとしても、そのままでは所有者がローン会社などになったままです。
完済した場合は、ローン会社から自分へ名義変更する「所有権解除」の手続きを行う必要があります。
車検証に記載されているローン会社へ「所有権解除がしたい」と連絡すると、以下の書類が送られてきます。
・印鑑証明書 …… ローン会社の印鑑証明書
・譲渡証明書 …… ローン会社が譲渡することを表す証明書
これらの書類と車検証や自分の印鑑証明、実印などを持って、陸運局で手続きする必要があるわけです。
もちろん、上記の書類さえあれば、名義変更手続きを行ってくれる買取業者は多数ありますので、確認してみましょう。
また、買取店によっては、ローン途中の場合でも、買取金額を返済費用に充てることで所有権解除の手続きを進めてくれるところもあります。もし、ローン途中に車を売りたくなった場合は、一度相談してみましょう。
元の所有者が死亡している場合
祖父や祖母などが亡くなって、彼らが乗っていた車を譲り受けた場合、そのままでは名義が祖父や祖母になっているままでしょう。
そのため、名義変更を自分で行わなければいけません。
ただし、元の所有者が死亡して譲り受ける場合は、「相続」という扱いになり、相続した車については、相続人全員の共有財産と解釈されます。
つまり、相続した車の名義変更の手続きでは、亡くなった人と相続人全員が分かる戸籍謄本や印鑑証明が必要になるということです。
もしくは、特定の個人へ車を相続することを相続人全員が承認した「遺産分割協議書」が必要になるのです。(相続人全員の実印による押印が必要です)
そのため、一般的な名義変更とは違って、安易に買取業者へ依頼するのは難しいかもしれません。
もちろん、書類がそろっていれば手続きしてもらえるかもしれませんが、「相続」の場合は弁護士や司法書士がいるはずですので、そういった人へ相談して名義変更を済ませてしまった方が安全でしょう。
まとめ
名義が違う車を売ることは可能です。
しかし、その前には、必ず名義変更が必要になります。
名義変更の手続きは、書類の準備だけでも手間がかかってしまいますので、陸運局での手続きまで含めると、一般の人が手続きするのは骨の折れる作業となるでしょう。
手数料はかかりますが、買取業者に対応してもらうことで、手間をかけることなく確実に短時間で処理をしてもらえます。
・名義変更の手続きは、買取業者が代行してくれる
・ローン中の車はローン会社名義になっているのが普通で、完済するまで「所有権解除」できない
・ローン完済後も、手続きしなければ、所有者がローン会社のままになっている
・買取業者によっては、ローン中の車でも「所有権解除」して買い取ってくれる
・相続した車の名義変更については、相続人全員の戸籍謄本や遺産分割協議書といった書類が必要