サラリーマンの多くは源泉徴収されていますのであまり意識していないと思いますが、仕事をしてお金を得ると、所得税がかかります。
銀行にお金を預けていても、利息に税金がかかります。その他、臨時収入があった場合も、確定申告をして税金を納めなければいけません。
車を売ってお金を得た場合も同様です。しかし、その税金関係の手続きをご存じでしょうか?
車の売却益がでた場合の所得税や確定申告、計算方法等について、詳しく解説します。
車を売って所得を得ると所得税が課税される
所得税は、所得を得た場合に課せられる税金です。
所得というのは、いわゆる「利益」です。どんな形であれ、利益を得た場合は所得税が課せられるのが原則なのです。
ただし、利益の種類によって、計算方法(控除など)が違っていて、所得には10種類もの分類になります。
例えば、働いて得る利益は「給与所得」、マンションやアパートを貸して得た利益は「不動産所得」、預貯金の利子で得られる「利子所得」などです。そして、車を売って得た利益は、「譲渡所得」というものに分類されます。
譲渡所得は、車の他にも土地や建物、貴金属などの財産を譲渡することによって得られる利益のことを指し、所得税が課税されることになっています。
もちろん、車を売った場合にも、納めなければならないものです。しかし実は、必ずしも納める必要があるわけではないのです。
車を売って得た利益は、所得税を納めなくて良い
では、具体的に「車を売る」という点に絞って解説していきます。
譲渡所得として扱われる車を売って得た利益については、実は2つのパターンで所得税を納めなくても良いケースがあるのです。
個人の通勤用の車は課税されない?
実は、譲渡所得に分類される中でも、「生活動産」と呼ばれるものについては、譲渡所得が特別扱いされています。
「生活動産」というのは、家具や什器(皿やコップなど)、衣服などの通常の生活に必要なもののことです。
これらのものについては、一般的に投機や投資の対象として持っているものではありませんし、そもそも資産を売却することで利益が得られるようなことはほとんどないと考えられます。
そのため、「生活動産」に対しては課税対象外とされているのです。
そして、この生活動産に「通勤用の車」「業務用の車」など生活に必須の自動車も含まれています。
個人が通勤用に使っていた車や、その車がなくなることで生活できなくなるような場合であれば、その車を売って利益を得たとしても、所得税が課税されないわけです。(※個人事業主の場合は業務用とみなされる為、課税対象となります。)
ただし、何をもって「通勤用の自動車」とするかは、税務署の判断になります。
「通勤」にも「レジャー」にも使っているような一般的な家庭の場合は、難しい線引きかもしれませんので、厳密に確認したければ税理士や弁護士に確認する必要があります。
(※法人の場合、法定耐用年数で減価償却した簿価を超える分については、売却益をとして処理される為、消費税等がかかってきます。)
課税される車はどんな車?
通勤用の車や生活に必須の車は課税されませんが、実はこの点を定めている所得税法には以下のような条文も定められています。
つまり、高級車やスポーツカーと呼ばれるような車は、「贅沢品」として課税対象になるのです。
もちろん、その高級車を通勤に使っていたという主張もあるかもしれませんが、その場合は税理士や弁護士に相談のうえ、都度確認が必要となるでしょう。
また、残念ながらレジャー用の車や、車がなくても生活できる地域で通勤用に使っていない車の場合も、その譲渡で得た利益に対して所得税が課税されます。
ところが、これらについても、所得税を納める必要のないことがほとんどなのです。
それは、所得税を計算するための課税対象額の計算に秘密があります。
取り急ぎ、その式を紹介しましょう。
なお、この式にある「車の価額」は購入したときの金額ではなく、使用期間における減価償却
相当額が差し引かれた金額です。
減価償却の計算は非常にややこしいので割愛しますが、要は「現在の車の価値」と考えれば良いでしょう。
それよりも重要なポイントは、最後の「-50万円」です。これは、譲渡所得の特別控除です。
つまり、現在の価値+50万円以上の金額で売れた場合に、初めて所得税の課税対象になるということです。
「ポルシェ」や「フェラーリ」のような、相当なプレミアがつくような高級車でもなければ、現在の価値よりも50万円も高く売れることはなかなかないと思います。
そのため、所得税を納める必要がほとんどないわけです。
その他の税金について
所得税以外にも、売買するうえで気になる税金に「消費税」があります。
日本全国、どの店で何を買っても、ほぼ消費税を計算して合わせた金額を支払っていると思います。そして消費税を支払ってもらった店は、年度ごとにまとめて納税しているのです。
車を売る場合は、逆にものを売る立場になるわけですから、売ったお金の中から消費税を納めなければならなくなるかと心配になるでしょう。
高値で売れたと思っていたら、「年度末になって消費税の納税漏れで追徴課税を受けた」なんていうことになったら、元も子もありません。
しかし、安心してください。
消費税については、事業として行う売買について課税されるものです。
個人が車を売る場合には、適用されません。
確定申告は?
車を売ったことによって、確定申告をしなければならなくなる場合は、ほとんどありません。
そもそも、確定申告は「1年間の収入と支出を確定させて申告し、税金を納める」というものです。
多くのサラリーマンは「源泉徴収」されて収入から自動的に税金を差し引かれていますので、わざわざ申告する理由がないのです。そのため、車を売ったことによる利益に所得税が課税されない限り、改めて申告するものはありませんので、確定申告は不要なのです。
ただし、売った車が現在の価値よりも50万円以上高値で売れた場合は、前述しているように所得税が課税されることになります。そうなれば、その分の確定申告が必要ですので、確定申告をしなければいけません。
まとめ
車を購入する際の税金については、各メーカーのサイトで見積もりをとるだけでも提示してくれますので、意識していることだと思います。
しかし、車を売るときにも、一応気にしなければならないことではあります。とは言え、前述のように基本的には所得税がかかることは稀で、多くの場合は気にすることはないでしょう。
つまり、税金のことを考えるよりは、少しでも高く買い取ってもらうことに頭を悩ませるべきではないでしょうか。
そして、少しでも高く買い取ってもらうための最善の一手が、「車の一括査定」です。
車の一括査定で複数の買取業者に査定を行ってもらうことで、自然と「競り」のような状況が出来上がり、ディーラーでの買取価格など目じゃないほどの価格で買い取ってもらえるのです。
残念ながら、それで所得税を払わなければいけないようなことになることはほぼないかもしれませんが、十分満足できる価格を提示してもらえることでしょう。
・「レジャー用」「事業用」の車を売った利益については、所得税の対象となる
・今の車の価値+50万円以上高い価格で売れなければ、所得税の対象とならない
・消費税は事業として行う売買にのみ適用される
・所得税を納めなければならない場合のみ、確定申告が必要