車を売るとリサイクル料金は戻る?リサイクル券を紛失した場合は?

自動車購入時に支払う「リサイクル料」については、次のようなことが良く分かっていない人が多いかもしれません。

・何のためにあるの?
・いくら払うの?
・いつ払うの?
・支払っているかどうか分からない
・車を売却した場合はどうなるの?

ここでは、そんな自動車リサイクル料金について、詳しく解説していきます。

リサイクル料ってなに?

自動車リサイクル料は、「自動車リサイクル法」に基づいて、車を購入したときに支払う義務があるものです。

これは、車を廃車にする(解体する)ときにかかる費用を前払いしておくもので、支払っていなければ、車を解体してもらうことができません。

なお、ここでいう廃車は車を解体してしまう「永久抹消登録」のことを指します。一時的に登録を外す「一時抹消登録」では、仮にリサイクル料を支払っていなくても問題ありません。

また、「リサイクル」という名称から、車の解体の時にだけ必要かと思われがちですが、リサイクル料を支払っていなければ、車検を受けることもできません。

つまり、車検に通っているなら必ず支払っているということになるのです。

廃車するときになって初めて「リサイクル料を払っていない」と慌てる人が多いですが、最近まで乗っていた車であれば、既に支払っているはずですので、安心してください。

リサイクル料は、購入時の種々の手数料に含まれている場合がほとんど。そのため、「知らないうちに払っている」人もいます。

払っていれば問題ありませんが、知らないままでは、いざという時に慌ててしまうことがありますので、自分の状況を確認しておきましょう。

自動車リサイクル法って?

車の所有者にリサイクル料を支払う義務を定めている「自動車リサイクル法」は、自動車の解体と再利用、再利用できないゴミの処分を円滑に進めるために制定されました。

同時に、当時横行していた、自動車の不法投棄や不法埋め立てを防ぐという目的もあります。

また、「自動車リサイクル法」では、自動車のリサイクルについては、一部の業者だけに任せるのではなく、社会全体が負担するべきものとしています。

そのため、自動車の所有者にも以下の2点の義務が課せられているのです。

・車の解体費用として、リサイクル料を負担すること
・車の解体時には、自治体指定の登録業者、引き取り業者へ引き渡すこと

この義務を怠った場合であっても、特別な罰則があるわけではありません。

しかし、リサイクル料を支払わなければ、廃車(解体)はおろか、車検を受けることすらできませんので、リサイクル料金を支払わないというのは、現実的ではありません。

自動車リサイクル料はいくら?

リサイクル料の金額は、メーカーや車種によって違っていますが、車の種類によっておおむね以下のように決まっています。(実際には、処分できない部品の数や分解のしやすさなどから決まります)

・軽自動車やコンパクトカー    …… 7,000円から15,000円程度
・普通乗用車 ……………………… 10,000円から18,000円程度
・中、大型トラック ……………… 10,000円から16,000円程度
・大型バス    ………………………… 40,000円から65,000円程度

なお、内訳としては以下の内容になりますが、具体的にどの項目にいくらかかるかは、車によって大きく違っています。一概にどれくらいとは言えませんが、合計すると上に近い金額になるということです。

・シュレッダーダスト処分料金 …… 車を粉砕した際に出るゴミの処分費用
・エアバッグ類の処分料金 ………… エアバッグの回収や運搬、リサイクルする場合に必要な費用
・フロン類の処分料金 ……………… カーエアコンで使われているフロンの回収と処分の費用

これらのゴミや部品が増えるほど、リサイクル料が高くなることになります。

リサイクル料を払っているのに、なぜ廃車代がかかるの?

リサイクル料は解体費用の前払いです。そのため、解体時に廃車代も請求されることに疑問を持つ人もいるでしょう。

しかし、リサイクル料は上述の通り、車の解体そのものの費用に充てられるものです。

解体には、それ以外にも自動車の運搬費や施設の維持費、手続費用などもかかりますので、それらが廃車代として請求されることになるわけです。

リサイクル料が必要な車は?

自動車リサイクル料を支払わなければいけない車は、以下の通りです。

・普通自動車
・小型自動車
・軽自動車
・大型車(トラック、バスなど)
・特種自動車(8ナンバー車)
・ナンバープレートが付いていない構内車

一般的に国内を走っている二輪車以外のほとんどの車両が対象になっていると言えます。(農業機械や林業機械は対象外になっています)

なお、二輪車が対象から外れている理由は、二輪車には独自のリサイクルシステムが存在し、そのリサイクル料が販売価格に含まれているからです。

車を売ると、リサイクル料金が返還される?

リサイクル料は、車を解体するための費用を前払いするものです。

つまり、車を売って手放すだけであれば、負担する必要のないお金と言えます。

そのため、車を売るときには必ず返金されます。(次に購入する人が、購入時に改めて支払うことになります)

仮に査定の最高額を叩き出したとしても、実は「車の査定額や下取り価格の中に含まれている」ということがほとんどです。

車の価値のみの査定額なのか、それとも還付金も合わせての金額なのか、明細をきちんと確認して、分からなければ手続きを進める前に買取店に確認しておきましょう。

なお、悪徳業者の場合は、リサイクル料金を着服しようとするところもあります。そのため、支払っている自覚がなければ確認することもできず、そのまま持って行かれてしまう可能性がありますので注意が必要です。

曖昧なままにしておいてはいけません。

リサイクル券ってなに? なくしたらどうするの?

車検時や車の解体時には、リサイクル料を支払っているかどうかを確認するために、「自動車リサイクル券」という書類の提出を求められます。

この書類は、リサイクル料を支払ったときにもらえるものです。

受け取った記憶がない人でも、車検証と一緒に車に積んでいる人がほとんどですので、車検証を確認してみれば見つかると思います。

「そんなこといっても、何年も前に買ったときの書類なんて、どこにあるのか分からないよ」という人もいるでしょう。

また、リサイクル券が破れてしまって、なにが書いてあるのか分からなくなっている場合もあるかもそれません。

リサイクル券は自分で再発行できる!?

リサイクル券をなくしてしまっても、簡単に再発行できる方法がありますので、安心してください。

1.    リサイクル料の預託状況を使う

リサイクル券が必要なシーンで本当に必要としているのは、「リサイクル券番号(移動報告番号)」だけです。

そして、その番号は、誰でもインターネットで調べることができるのです。つまり、リサイクル券がなくても、スマホがあればその場で調べることができないこともないということです。

もう少し詳しく説明しましょう。

そもそも、リサイクル料金は、ディーラーや販売店、車検を行う工場などで回収しますが、その管理は「自動車リサイクル促進センター」で行っており、その管理状況(預託状況)は、インターネットで誰でも確認できるようになっています。

つまり、ある車のリサイクル料金が支払い済みなのかどうか(預託状況)が、誰でも確認できるようになっており、そこで、上述した移動報告番号が確認できるようになっているのです。

なお、「自動車リサイクル料金の預託状況」は、以下のサイトから確認できます。

具体的には、このサイトにアクセスして、車検証に記載されている情報(車台番号やナンバーなど)を入力すれば、その車のリサイクル料金が支払い済みかどうかが表示されます。

もちろん、リサイクル料を支払っていれば、その旨が記載され、移動報告番号も表示されていますので、リサイクル券の代わりに使えるのです。

2. 陸運局で再発行してもらう

リサイクル券は、陸運局で再発行してもらうこともできます。

陸運局に設置してあるATMのような端末に、車の車台番号と登録番号(軽自動車の場合は車両番号)を入力するだけで発行されます。もちろん、無料です。

なお、車のディーラーや整備業車などでも再発行してもらえるようですが、有料の場合がありますので、気を付けましょう。

まとめ

・リサイクル料は、「自動車リサイクル法」に基づいて、車の所有者が支払わなければいけない
・リサイクル料は、「自動車の解体費用」の前払い金である
・リサイクル料を支払っていなければ、永久抹消できない
・リサイクル料を支払っていなければ、車検を受けられない
・リサイクル料は、車の購入時に支払う(車検時や廃車時に払うことも可能)
・リサイクル料は、「車を売る」場合には戻ってくる
・リサイクル料は、車の買取価格に含まれていることが多いので、必ず確認すること
・リサイクル料を支払うと、「リサイクル券」がもらえる。この券が支払いの証明になる
・リサイクル券を紛失した場合でも、リサイクル料金の預託状況を確認すれば、必要な情報が得られる
・リサイクル券は、陸運局で再発行してもらえる