「古本屋に本を売る」「古着屋に洋服を売る」など、ものを業者へ売ることは珍しくありません。そのため、それらと同じつもりで「車を買取業者へ売る」と驚くことがあります。
それは、必要書類の準備と手続きです。
査定額の相場や値上げしてもらうための交渉を経て、ひとつの買取店に絞り込んでホッとしたのも束の間、すぐに契約に移らなくてはいけないのです。
車は公的機関が所有者を管理しているものですので、「所有者が変わる」売却については、公的な手続きが必要になってきます。
それらの手続きは買取業者が代行してくれるので安心ですが、車を売る時や下取り時に必要な書類は自分で準備しなければいけません。
準備する書類がどんなことに必要なのか、どこで手続きするのかは最低限把握しておきましょう。
これから詳しく説明していきます。
目次
車を売るときに必要な書類は売却時に説明される
一括査定サイトの無料査定を利用して、いくつかの大手買取専門店に出張査定してもらって、査定価格に納得したら、契約書にサインして売買契約へと移ります。
しかし、すぐにお金が支払われるわけではありません。
多くの場合、査定価格に納得して売却の手続きを始めるときに、業者から「必要な書類」の説明があるのです。
それも1つや2つではありません。具体的には、以下のような書類です。
自賠責保険証明書
自動車納税証明書
リサイクル券
譲渡証明書
委任状
印鑑証明書
住民票、戸籍の付票か住民票の除票、戸籍謄本
お金をもらうだけのつもりでいたのに、いきなり「これらの書類を準備してください」と言われると、慌ててしまうでしょう。
でも、「どこで準備できるのか」、「何に必要な書類なのか」、ということを知っておけば、慌てることはありませんし、前もって準備しておいて、手続きをスムーズにすることもできます。
自動車を売るときに必要な書類
まず、自動車を売るときに必要な書類について、どこで入手できるのか、何に使用するのかなどを説明しておきましょう。
1. 自動車検査証
いわゆる車検証です。車検のときにも必要ですし、車に積んでおく義務があるものですので、探したり改めて発行してもらったりする必要はありません。
もし万が一なくしてしまっている場合は、陸運局で再発行してもらうことが可能です。
そもそも、買取査定時に車の正しい情報を得るため、車検証を確認することがほとんどですので、事前に準備できているものと思われます。
2. 自賠責保険証明書
自動車賠償責任保険(自賠責保険)の保険証です。自賠責保険は強制加入(必ず入らなければいけない)保険で、かつこちらも携帯の義務がありますので、多くの人が車検証と一緒に保管しています。
なお、もし紛失している場合は、自賠責保険に加入した保険会社へ再発行の依頼をしなければいけません(車を購入したときに加入手続きを代行してもらった場合は、ディーラーや業者へ確認する必要があります)
3. 自動車納税証明書(軽自動車納税証明書)
毎年の自動車税を納税したときに渡される小さな紙片で、自動車税を納めていることの証明になります。これもまた、車検時に必要な書類ですので、車検証と一緒に保存している人も多いかもしれません。
こちらも紛失した場合は再発行可能ですが、ナンバーを管轄する地区の県税事務所や陸運局にある自動車税事務所へ出向く必要があります。(車検証や納税時のレシートなど、事務所によって必要な書類は違います)なお、郵送での発行も可能になっています。(遠方へ引っ越した場合など)
4. リサイクル券
車の購入時に自動車リサイクル料金を預託している場合に必要な書類です。(預託していることを証明する書類です)この書類も、車検証と一緒に保管されていることが多いので、ほとんどの場合は探さなくても良いでしょう。
仮に紛失した場合でも、自動車リサイクルシステムのサイトにアクセスして、「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷すれば、リサイクル券の代替として使えます。
なお、厳密には「売却するときに必要な書類」ではなく、「廃車にするときに必要な書類」ですが、廃車にするまで引き継がれる書類ですので、売却時に必要になります。
5. 譲渡証明書
売り手から買い手に車の所有者が移ることを証明する書類です。
基本的に買取業者が用意してくれる書類ですので、その場でもらって記入することになるでしょう。なお、普通自動車の場合は実印を押印する必要がありますので、実印を忘れずに持っていかなければいけません。
6. 委任状
売却時の公的手続きを買取業者に代行してもらうときに必要になる書類です。こちらも、買取業者が書類を準備していますので、その場で記入して実印を押印します。
7. 印鑑登録証明書
譲渡証明書や委任状に押印した印鑑が実印であることを証明するための公的な書類です。3ヶ月以内に発行されたものが必要になりますので、事前に市区町村の役場へ取りに行かなければいけません。
8. 住民票、戸籍の付票か住民票の除票、戸籍謄本
車を購入したときと売却するときで住所が違っている場合に必要になります。これらも役所で発行してもらう必要があります。発行から3ヶ月程度以内のものである必要があります。
実際に必要になるものは、以下のように条件によって違っています。
戸籍の付票か住民票の除票 …… 複数回引っ越した場合
戸籍謄本 ………………………… 姓が変わっている場合
なお、車検証の住所や氏名を、都度きちんと変更していれば、これらの書類は不要です。
軽自動車の場合
軽自動車の場合、小型・普通自動車よりも少し簡略化されています。
具体的には、1.自動車検査証から4.リサイクル券までは同じですが、5. 譲渡証明書から7. 印鑑登録証明書は不要です。
その代わりに、「自動車検査証記入申請書」へ押印するための認印が必要になります。なお、「自動車検査証記入申請書」は車検証の記載内容の変更申請に使用するもので、買取業者が準備しているものです。その場でもらって押印することになります。
もちろん、8.の住民票などについては、普通自動車同様に該当する場合は必要です。
結局、用意するのは?
最終的には、ほとんどの書類が車検証と一緒に保管されているものだということです。
実際に売却するときに準備するのは、小型・普通自動車の場合は「印鑑登録証明書」と「実印」で、軽自動車は「認印」さえ準備しておけば良いということになります。
※ただし、住所変更などがあれば住民票や戸籍謄本なども必要
自動車を売るときの手続きの注意点
車を売却するに当たっての書類が準備できれば、あとは買取業者が手続きをすればお金を受け取れます。
ただし、ほとんどの場合、現金ではなく振込になりますので、口座情報も忘れずに持っていきましょう。
また、売却したこと自動車保険会社へ連絡する必要がありますので、手続きを代行している買取業者から送られてくる「名義変更完了通知書」を受け取り次第、保険会社へ連絡しましょう。
なお、小型・普通自動車の場合は自動車税を月割で納められる制度がありますので、利用しましょう。(軽自動車は適用されませんので、満額納める必要があります)
まとめ
自動車を売却するに当たっては、公的な書類などが必要です。しかし、実際には「印鑑登録証明書」と「実印」もしくは「認印」のみで、あとは車検証と一緒に積んである書類ばかりでした。
しかし、「印鑑登録証明書」は前もって準備しなければいけない書類ですし、その他の書類についても、「積んであるはず」と安心するのではなく、きちんと確認しておきましょう。
もちろん、最新の納税証明書があるか、住所や氏名は違っていないか、など内容もきちんと確認し、最新の状態にしておくことで、いざ売るとなったときに慌てなくて済みます。
・基本的には車検証と一緒に車に積んでいる書類
・新たに準備するのは「印鑑登録証明書」と実印、口座情報くらい
・売却して名義が換わったことを、自動車保険会社へ連絡すること
・年度末ぎりぎりの売却は、自動車税に注意